襖の張り替え、古い紙は
剥がさなくて大丈夫ですか?
先日、お客様のお宅から引き上げてきた襖です。前回の張り替えから15年ほど経っているものでした。
紙が縁のきわから浮いてきています。しかも1枚ではありません。そのお宅の襖20枚が、すべて同じように下地から剥がれていました。
紙をめくると、原因が見えました
浮いているところに手をかけて、めくってみます。
剥がれていたのは、新しい紙と下地のあいだではありませんでした。古い紙ごと、まとめて浮いていたのです。
つまり古い襖紙の上に、新しい襖紙をそのまま重ねて貼ってあったということです。
なぜ、重ねて貼ると剥がれるのか
新しい紙をどれだけ丁寧に貼っても、その紙がくっついている相手は古い紙です。下地ではありません。
その古い紙が下地を掴んでいる力を失っていれば、上に何を貼ってもいちばん弱い層から離れていきます。新しい紙そのものはしっかりしていても、足元が抜けてしまうわけです。
今回の襖は、めくった下地の状態から見て、張り替えて間もない時期にはもう浮きはじめていたと考えられます。前回の張り替えから15年のあいだに徐々に進んだのではなく、早い段階で離れていたということです。20枚すべてが同じ状態でした。
「15年も経てば下の紙は傷むのでは」と思われるかもしれません
下になっていた紙が傷んでいたのは、年月が経ったせいではないか。そう考えるのが自然です。
ただ、当店にはこんな経験があります。
10年ほど前、貼る紙を間違えてしまい、その新品の襖紙の上から、正しい襖紙を貼り直したことがあります。先日その襖を張り替える機会があり、下になっていた紙を確認しました。
10年経っても、ほとんど新品のままの状態でした。
下の紙が良い状態で貼られていれば、10年経っても傷まないということです。年月そのものが紙を傷めるわけではありません。
そう考えると、今回の襖の答えが出ます。下になっていた紙が傷んでいたのは15年かけて劣化したからではなく、貼る時点ですでにかなり傷んでいたということです。傷んだ紙の上に貼れば、その紙が抱えている弱さをそのまま引き継ぎます。結果は貼った時点で決まっていたわけです。
新しい紙が悪いのでも、糊が悪いのでもありません。貼る前に下地の状態を見なかったことが原因です。
当店でも「張り替えたばかりの襖が剥がれてきた」というご相談をいただくことがあり、調べてみると多くがこのパターンです。剥がして貼り直すご依頼も受けてきました。せっかく張り替えたのに、という残念な結果になってしまいます。
ただし、重ねてよい襖もあります
ここが分かりにくいところなのですが、襖の種類によって答えが変わります。
- 本襖(ほんぶすま) … 木で組んだ骨に、和紙を何層も重ねて作られた昔ながらの襖。紙を重ねていくのが本来の作りです。適切な状態であれば、上から貼って問題ありません。
- 戸襖(とぶすま)・段ボール襖 … 下地がベニヤ合板や段ボールでできた襖。紙を重ねる前提で作られていません。古い紙を剥がし、下地を整えてから貼るほうが安全です。最近の襖はこのタイプが多く使われています。
今回のものは、下地がベニヤ合板の戸襖でした。最近の襖はこのタイプが多く使われています。
ご自宅の襖は、どちらでしょうか
簡単な見分け方をお伝えします。
- 軽く叩いてみる … 太鼓のように軽く響けば本襖。詰まった鈍い音がすれば、ベニヤ合板などの下地が入った戸襖の可能性が高いです。
- 持ち上げてみる … ずっしり重いものは、戸襖が多いです。
とはいえ、実際には中間のものもあり、見た目だけでは判断がつかないこともあります。無理に決めていただく必要はありません。
お願いするときに、ひとこと確認を
張り替えをどこかに頼まれるとき、こう聞いてみてください。
「この襖、古い紙は剥がしますか?」
この一言で、下地を見て仕事をしているかどうかが分かります。当店では現物を確認したうえで、剥がす必要があるものは剥がし、下地を整えてから貼っています。作業前に、どちらの襖でどう進めるかをご説明します。
もし、すでに張り替えたばかりの襖が浮いてきているようでしたら、その部分だけを貼り直しても同じことが起きます。古い層を落として、下地から作り直す必要があります。
襖の状態を見てほしい、というご相談も承ります
お見積りは無料です。1枚から承ります。現物を見て、剥がすべきかどうかからご説明します。
📞 0285-77-4206受付 8:30〜18:00・年中無休
真岡市・益子町・市貝町・芳賀町ほか周辺地域
よくあるご質問
Q1. 古い襖紙は必ず剥がすものですか?
A. 襖の種類によります。木枠に和紙を何層も重ねた本襖は、重ねて貼るのが本来の作りです。一方、下地がベニヤ合板や段ボールの戸襖・段ボール襖は、古い紙を剥がして下地を整えてから貼るのが安全です。当店では現物を見て判断し、剥がす必要がある場合は事前にご説明します。
Q2. うちの襖がどちらの種類か、見分けられますか?
A. 襖の縁を持って軽く叩いてみてください。太鼓のように軽く響けば本襖、詰まった鈍い音がすれば、ベニヤ合板などの下地が入った戸襖の可能性が高いです。持ち上げたときにずっしり重い場合も戸襖が多いです。判断がつかないときは、お見積りの際に一緒に確認します。
Q3. 下の紙が傷んだのは、年月が経ったからではないのですか?
A. 年月そのものが原因ではありません。当店では10年ほど前、貼る紙を間違えて、その新品の襖紙の上から正しい紙を貼り直したことがあります。先日その襖を張り替える機会があり下の紙を確認したところ、10年経ってもほとんど新品のままでした。良い状態で貼られていれば傷まないということです。分かれ目は経過した年数ではなく、貼るときに下の紙がどういう状態だったかです。
Q4. 重ねて貼ってしまった襖はどうなりますか?
A. 下地になった古い紙が湿気で傷むと、その層から浮いて、新しく貼った紙ごと剥がれてきます。早い場合は、張り替えて間もない時期から浮きはじめます。すでに剥がれてきている場合は、古い層をすべて剥がし、下地を整えてから貼り直します。当店でもそうしたご依頼を受けてきました。
Q5. 剥がすと料金は上がりますか?
A. 当店では、通常の張替えの範囲で下地の処理を行っています。下地そのものが傷んでいて補修が必要な場合のみ、事前にご相談したうえでお見積りします。追加料金が発生する場合は必ず事前にお伝えします。
Q6. 何枚からお願いできますか?
A. 1枚から承ります。お見積りは無料です。